アウトな野球団 (2)共通目的は?

前回( ⇀アウトな野球団 (1)寄せ集め組織 )の続きです。

己の「野球をやりたい」という願望を叶えるべく
強引に寄せ集めで野球チームを立ち上げた小4の私。

初練習の前夜にも、ひとり翌日の計画を練りました。

ball-icon初練習メニュー: 準備運動、ランニング、キャッチボール

ball-icon目的: メンバーそれぞれの実力の程を見極める。

確かドカベンの山田も、そんなところから始めていたはず。
キャプテンの谷口だって基礎練習を繰り返していたし。

さらに飛躍して、今後についての妄想も止まりません。

ball-iconある程度、チームがまとまってきたら、近所の世話好きなオジサンに監督になってもらう。

ball-icon地域のリトルリーグチームに練習試合を申込む。
1年ぐらいは負け続けるが、次第に力を付けていつか勝利する。

一方通行jpg

こうして新チームの青写真は(私だけの中で)完成しました。

そして、初練習当日-
私は自前の野球道具のすべてを抱え、意気揚々と練習場所の空地に到着しました。
小さい子でも安全なように、ゴムボールやプラスチック製のバットも準備。
抜かりは無し、と思われました。

しかし、集合時間が過ぎても…誰も来ません…。
( ゜Д゜)ポカーン

もしやと思い、近くの公園へ行ってみると、
一部メンバーが遊んでいたので、声を掛けます。

皆の反応は「あー、そうだったね。今行く~」でした。

初練習から面子が揃わないのでは話にならない、と
私は、公園に居たメンバーを引き連れて残りのメンバー宅を周り、
練習へと引っ張り出します。
そして、ようやく練習開始…と思ったら
ここでまた、思わぬ障害が立ちはだかります。

空地

練習場所である空地に、意外と小石が転がっていたのです。
私は、これでは危険と判断し、急遽練習メニューを変更しました。

「まず、グラウンドを整備しよう!石拾いと草取り開始!」
「…え、えぇ~?…」

メンバー一同は、”しぶしぶ”動きだしました。

(石拾いと草取りにより、安全に練習ができるだけではなく、
 野球に必要な足腰の筋力が鍛えられるのだ。
 ピンチはチャンス! 一石二鳥!)

そんなことを考えながら悦に入っていた私をよそに

草むらでバッタと戯れだす者あり、
いつの間にか、そっと消える者あり…
どうも、収拾がつかなくなってきました。

そりゃ、当たり前です。
子供たちにとっては無理に参加させられた挙句、苦役を課されたようなものです。

さすがにマズいと感じた私は、慌てて予定していた練習メニューに移ります。
石拾いが準備運動になったということにして、次はランニングです。

これは、まあまあウケました。
当時放映されていたTVドラマ「レッドビッキーズ(弱小少年野球チームの話)」の
ランニング時の掛け声を真似て盛り上げたのが、メンバーのツボに入ったのです。

しかし、ランニングを終えて振り向くと、
メンバーはまた1名減っていました。

その後、キャッチボール練習をはじめたものの、

ボールを2m先にすら投げられない子あり、
投げられたボールを避ける子あり、
やはりバッタが気になり、バッタと戯れる子あり…。

ほとんどキャッチボールになりません。
そして、”あまりのつまらなさに皆の眼が段々虚ろになっていく”のが判ります。

「実力の程を見極める」どころか、予想以上の低レベル。
なのに、上手になろうという意欲もまったく見られない。

私は途方にくれつつも、懸命に打開策を考えました。

(まず、次からはやる気を出してもらわねば…。
 よし!次回は、こいつらに野球の楽しさに気付いてもらおう)

初練習の最後は、

「明日は、すごく面白いことをやるから!」

という言葉で締めました。

こうして、バーナードの組織の成立要件の一つである「共通目的」も定まらぬまま、
次回の練習でメンバーのモチベーションを高めるべく
ひとり鼻息を荒くしていた小4の私なのでした。

(つづく)


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